2010年11月21日

コンピュータープログラムと著作権(その2)

 先日のブログで、コンピューターのプログラムも著作権の保護の対象になるが、アイデア自体が保護されるわけではなく、プログラミング言語で書かれた文字の羅列が保護の対象となるということを書きました。

 あるプログラムのアイデアを真似して、プログラミング上の異なる手順で同様の機能を実現しても、それは著作権の問題ではなく、特許権などの問題になるわけです。

 そして、著作権は、登録などしなくても保護されますが、特許権となると登録されなければ保護されません。

 ところで、コンピューターのプログラムを起動したときにモニターに表示される画面(影像)は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」として保護の対象にはならないのでしょうか?

 この点については、いわゆる「サイボウズ対ネオジャパン事件」の東京地裁平成14年9月5日判決が有名です。

 これは、原告の「グループウェア」と呼ばれるソフト(「スケジュール」「行き先案内板」「施設予約」「掲示板」「共有アドレス帳」「プロジェクト管理」「電子会議室」等の複数のアプリケーションの機能を備えたもの)と被告のソフトのユーザーインターフェイスが類似しているとして、著作権侵害で訴えが提起されたものでした。

 同判決は、まず、こうした表示される影像も著作物に該当しうると判断しました。

 「電子計算機に対する指令(コマンド)により画面(ディスプレイ)上に表現される影像についても・・・美術的要素や学術的要素を備える場合には、美術の著作物(著作権法一〇条一項四号)や図形の著作物(同項六号)に該当することがあり得るものであり、いわゆるコンピュータゲームにおいて画面上に表示される影像などには美術の著作物に該当するものも少なくないが、この点は、いわゆるビジネスソフトウェアについても同様に当てはまるものということかできる」

 しかし、その一方で、ビジネスソフトについては、「作業の機能的遂行や利用者による操作や閲覧の容易性等の観点からその構成が決定されるものであって・・・作成者がその思想・感情を創作的に表現する範囲は限定的」などとした上で、著作権侵害が認められるのは、「原告ソフトの表示画面とその組合せにつき実質的にその全部を共通に有し、新たな表示画面や組合せが付加されていないようなものに限られる」などとして、原告の請求を退けました。

 ビジネスソフトの影像は、思想的表現という要素が少なく、機能的な必要性などから決まってくるものだから、完璧に真似をしたような場合でない限り、著作権侵害にならないとしたわけです。

 ちなみに、この訴訟は高裁で和解になったのですが、和解後、原告が和解の経緯について新聞社に告知した内容を巡って、この訴訟の被告が訴えを提起し、これについてはこの訴訟の被告側が敗れています。



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posted by 弁護士 吉成安友 at 17:43| Comment(0) | 知財関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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